2012年3月12日月曜日

将棋のタイトル戦はほとんどの棋士が和服着ますが、囲碁のタイトル戦で昔はわかり...

将棋のタイトル戦はほとんどの棋士が和服着ますが、囲碁のタイトル戦で昔はわかりませんが少なくとも現代で和服着てるひとほとんど見かけません。



何故なんでしょう?


|||



戦前は、囲碁界でも将棋界でも、ふだんの対局、タイトル戦(番碁)、いずれも和服でした。

昭和の初めに中国から来日し、日本の囲碁界のトップに長く君臨し、現在もご健在の囲碁の呉清源九段は、戦前から戦後にかけての全盛期は、当時の日本人同様に、和服を着用しておりました。中国人だから中国の服を着たり、洋服を着たりは、少なくとも対局の時にはしておりません。



囲碁界で、呉清源九段、林海峯名誉天元、趙治勲など外国出身のトップ棋士が増え、現在の最強棋士の一人が張ウ棋聖であるなど、外国人棋士が多い (将棋界では皆無) なのは事実ですが、それと

「囲碁界では洋服での対局が普通になり、番碁でも洋服しか着ない」

ことになったのは直接関係ありません。



戦後の囲碁界では、例えば昭和38年に藤沢秀行名人と坂田栄男本因坊が戦って坂田が名人位を奪い「名人・本因坊」に輝いた時の対戦の様子は、最終局の記録係を務めた中山典之氏の著書



完本 実録囲碁講談 (岩波現代文庫)

中山 典之 著

http://www.amazon.co.jp/dp/4006020716



に詳しく述べられていますが、藤沢秀行名人が羽織袴であった旨が記載されています。坂田本因坊も同様でしょう。

この本には、昭和30年代の対局の様子を写した写真がいくつも載っていますが、和服ばかりです。



囲碁界で、番碁も含めて洋服で対局するのが普通になったのは、昭和40年頃から、木谷實九段の門下生が、大竹英雄名誉碁聖 (昭和44年に初タイトル十段を獲得) を皮切りに棋界を席巻した頃が境目と思われます。同じ頃に、呉清源九段の弟子である林海峯名誉天元も碁界で活躍を始めています。



木谷門下の大竹、石田芳夫、加藤正夫、武宮正樹、小林光一、趙治勲など (趙治勲以外は日本人) が昭和40年代にどっと出て来ましたが、彼らの当時の写真を見ると一様に洋服で番碁を打っています。



ちなみに、現在の囲碁界では、通常の対局は「普段着」での対局が当たり前になっており、マスコミやIT業界のような「各人の好みの」カジュアルな服装で対局しているようです。



さすがに番碁(タイトル戦)ではスーツにネクタイが普通のようですが、暑い時期には、ポロシャツ姿で番碁を打つ例もあるようです。



囲碁界では、服装は対局者の判断に任される (ドレスコードが特にない) ため、ふだんの対局はカジュアルな服装、番碁(タイトル戦)はスーツにネクタイで打つ、何かと面倒な和服を着るのは、依田九段のような一部の人のみ、となっております。



====



一方、将棋界では、平成の今日では



「タイトル戦や棋戦決勝戦では和服着用。立会人のベテラン棋士も和服着用」



「通常の対局はスーツにネクタイ」

※ 挑戦者決定戦や順位戦昇級が決まるような重要な対局では、和服を着て気合いを入れる人もいる。



が事実上のドレスコードとなっており、囲碁界とはだいぶ違います。



ドレスコードが明文規定になっている訳ではないですが、タイトル戦で、意識的に和服ではなく洋服(スーツ)を着た棋士は、加藤一二三 九段、島朗九段など、ごく僅かです。

なお、加藤一二三 九段は、和服でタイトル戦に出たこともあります。



これは、世の中で和服を着ることが稀になり、囲碁界がそれに従った昭和30年代から40年代に、将棋界で唯一のプロ組織である日本将棋連盟が、

「ふだんの対局はスーツにネクタイ。タイトル戦・棋戦決勝戦は和服」

という「ドレスコード」を、明文化はしないものの、事実上のルールとした結果と思われます。



|||



NHK杯では、囲碁は椅子で、将棋は畳に座布団

となっています。



世界中に広まった囲碁は、椅子とテーブルの方が

普通になりましたので、世界のユニホーム(礼服)

であるスーツ着用となりました。



一方、日本でしか通用しないルールの将棋は、い

わゆる日本の国技ですから、日本の礼服である着

物を着用します。



ただし、例外もありますし、将棋棋士も洋服の方が

気慣れていると思いますので、棋戦(タイトル戦)以

外はほとんどスーツが多いと思います。


|||



将棋は和製ゲームであり、剣道、柔道、茶道、華道、書道のように「棋道」と表現されたりもしている日本文化です。和服で対局することに意味があるわけです。これに対し、囲碁は中国を起源とする世界中に愛さるゲームですので、和服でも洋服でも特にこだわりが生まれないのかなと思います。



かつての島九段のように、いずれは将棋でも洋服でタイトル戦と戦う人が出てくるかもしれませんが、多数派にはならない気がしています。将来、外国人棋士が誕生する可能性もあると思いますし、そうなってほしいと思いますが、そうなったとしても将棋文化に敬意を表して、タイトル戦では和服を着用するのではないかなと思っています。



将棋と囲碁では文化の成りたちや背景が全く違うので、自然と差が出ているのだと思います。このご質問は、とても面白い着眼点だと思いました。


|||



囲碁は国際色強いからじゃないですか?一般の対局でも椅子が多いですし。あと袖がジャマで打ちにくいとか?

0 件のコメント:

コメントを投稿